世界の犬事情を覗いてみよう
国によって犬との暮らし方や、守るべきルールには大きな違いがあります。
「日本では当たり前」と思っていることが、他の国では法律違反になることも。
この記事では、ドイツ、アメリカ、イギリス、シンガポール、日本の5カ国と、番外編としてユニークな条例がある国をピックアップ。各国の犬に関する法律・条例を紹介しながら、犬との暮らし方の違いを見ていきましょう。

国の文化が見える“犬の法律”、知っておくと旅行や移住にも役立ちます。
目次
1. ドイツ|犬は“外で繋ぎっぱなし”禁止?

ドイツは「動物福祉」の考え方が進んでいる国として知られています。
特に犬に関しては、生活環境や扱いに厳しいルールがあり、虐待とみなされる行為も多いのが特徴です。
2021年には「犬の運動義務法(Hundeverordnung)」が強化され、犬の飼育に関するルールが明文化されました。
飼い主には、犬が十分に運動できる環境を与える義務があるのです。
また、庭に犬をつなぎっぱなしにするのは原則禁止。
室内飼育でも散歩などを通して日常的に犬と時間を過ごすことが求められています。
要点まとめ
- 2021年に法改正案として話題に
- 飼い主には「1日2回、計1時間以上」の散歩義務
- 犬の心身の健康を第一に考える文化背景

ドイツの動物福祉の考え方は本当に徹底していて、「犬は家族」という意識の高さを感じます。
2. アメリカ|州によってバラバラ?犬に関する多様なルール

アメリカでは、犬に関する法律が州や市によって大きく異なります。
例えば、ピットブルやロットワイラーなど、特定の犬種の飼育を禁止・制限する「犬種規制(Breed Specific Legislation)」が存在する地域があります。これは、過去の咬傷事件をきっかけに制定されたもので、賛否が分かれる制度です。
一方で、補助犬やセラピードッグに関する法制度は非常に進んでおり、空港やレストランなど多くの施設で犬の同伴が認められています。ADA(米国障害者法)によって、補助犬の権利は強く守られています。
要点まとめ
- 州によって犬種の飼育に制限あり
- 「咬傷歴」のある犬に特別規制がある場合も
- 補助犬の法的権利が非常に強い
- 公共施設でも補助犬の同伴が可能

「犬を守るためのルール」もあれば、「人を守るための規制」もある。自由な国ならではの多様性ですね。
3. イギリス|公共マナーと責任を重視する文化

イギリスでは、犬との共生において「公共のマナー」がとても重視されます。
たとえば、公共の場ではリードの装着が義務づけられている場所が多く、糞の始末を怠った場合は高額な罰金が科せられることも。
さらに「危険犬種法(Dangerous Dogs Act)」により、特定の犬種の飼育は禁止されています。
また、犬が吠え続けて近隣に迷惑をかけるような場合でも、自治体からの警告や罰金の対象になるなど、社会との調和を重視する姿勢が伺えます。
要点まとめ
- 公共の場ではリード装着が義務
- フンの後始末をしないと罰金対象
- 危険犬種の飼育は禁止

イギリスでは「犬を飼う=社会の一員としての責任」という考えが浸透しているようです。犬との生活に対して、かなり高いマナー意識を持っているのが印象的です。
4. シンガポール|犬の登録制度と厳格な罰則

シンガポールは清潔で安全な都市国家として有名ですが、犬に関する法律も非常に厳格です。
すべての犬は政府に登録されていなければならず、無登録の飼育は重い罰則の対象となります。
さらに、特定犬種(例:ドーベルマン、ジャーマン・シェパードなど)に対しては追加の許可や保険の加入が必要。
住宅事情により大型犬の飼育が制限されるエリアもあり、集合住宅では飼える犬種のリストが明確に決まっています。
要点まとめ
- 犬は必ず登録しなければならない
- 特定犬種には追加の許可や保険が必要
- 飼える犬種は住宅タイプによって制限される

国土が狭く人口密度の高いシンガポールでは、人と動物の共存ルールがとても緻密です。都市型の犬との暮らしの在り方として参考になりますね。
5. 日本|法律はあるけれど運用はやや緩め?

日本でも「動物の愛護及び管理に関する法律」によって、動物虐待の防止や適正な飼育が義務づけられています。
しかし、実際の運用面では「努力義務」的な要素が多く、欧米と比べると緩やかに感じられる部分もあります。
犬の登録や狂犬病予防接種は義務ですが、実施率や罰則には地域差があるのが実情です。
また、ペットショップでの販売が一般的である点も、海外と大きく異なるポイントです。
要点まとめ
- 登録・ワクチン接種は義務(ただし未実施も多い)
- 虐待防止の法律はあるが、実効性に課題あり
- ペットショップでの販売は合法だが国際的には少数派

日本は法律こそ整ってきていますが、「守られるかどうか」は飼い主のモラルに委ねられている部分が多い印象です。今後の意識改革が重要ですね。
6. 番外編|ユニークな犬の法律・条例がある国や地域

最後に、ちょっとユニークな犬に関する法律や条例を紹介します。
たとえば、スイスでは「犬を一匹だけで飼うこと」が原則禁止されています。
犬は群れで暮らす動物だから、単独飼育はストレスになるとされているのです。
また、イタリアのトリノ市では、1日に最低3回の散歩を義務づける条例があります。
オーストラリアの一部地域では、犬が他人に吠え続けると「迷惑行為」として訴えられることも。
国や地域ごとに文化の違いがよく表れていて、思わず「へえ!」と言ってしまうルールばかりです。
要点まとめ
- スイス:犬の単独飼育が原則禁止
- イタリア・トリノ市:1日3回以上の散歩義務
- オーストラリアの一部地域:犬の鳴き声も迷惑行為とされる

文化の違いが法律に反映されるって面白いですよね。犬と人との関係性が、その国の価値観や歴史を映し出しているようで、学びが多いテーマです。